ご存知の方も多いとは思いますが、嬉しいニュースがありました。
と言っても2月24日のNHKの記事。のんびりと書き綴っていましたら、少し過ぎてしまいました…
以下NHKニュースより、抜粋、要約しました(カッコ内、私見です)
戦前は国宝に指定され戦後GHQによる接収で所在不明となっていた、鹿児島県の刀と特徴が一致する刀が、オーストラリアで見つかったそうです。
鹿児島神宮に奉納され戦前は国宝に指定されていた「刀 無銘則重」は、戦後GHQに接収され、その後、所在不明となっていました。
オーストラリアで、約50本を所有する愛刀家イアン・ブルックスさんは、この刀と4年前にインターネットのオークションで購入。
これまでに見てきた中で最も優れた刀だと確信し、5300ドル余り、日本円にして60万ほどで落札したということです。
(国宝が60万とは大分お得なお値段ですね…。流石、50本を所有される方です。)
出品者の情報によると、もとの所有者はアメリカのニューヨークに住む男性で、ブルックスさんは「元の所有者の年齢を考慮するとかつて軍属で日本からアメリカに持ち帰った可能性もある」として、私立探偵を雇って調べているということです。
現在66歳のブルックスさんは、「生きている間は刀を持っていたいが、遺言状には私の死後に刀が鹿児島神宮に戻ることが確実になるように書いてある」としたうえで「鹿児島神宮もいつか訪れたい」と話したとの事。
文化庁は今後の対応を検討しているとか。(私の考えとしましては、ブルックスさんを鹿児島神宮に招待し、感謝状と購入代金と「刀 無銘則重」の精巧なレプリカをプレゼントしてお持てなしし、即刻日本に返還願いたい所です。(素人考えです))
戦後GHQによる日本の武装解除の一環として(どさくさ紛れに)各地で行われた刀の接収に伴って所在不明となったケースもあり、鹿児島県内では旧国宝の刀5件のうち4件の行方が一時分からなくなりました。
文化庁によりますと、去年3月の時点で所在不明となっている重要文化財は142件あり、この中で刀剣は半数以上の72件を占めています。
以上ニュースからでした。
さて、以前ご紹介したボストン美術館の刀剣研究にも関わった刀剣収集家に、ウォルター・コンプトン(1911〜1990)という方が居ますが、彼は日本人にとって大切な刀はその本国に返還すべきという信念を持っていたといいます。
欧州では植民地などから入手した文化財、略奪美術品(実際には合法的な売買によるものもあるとされる)を返そうとする動きがあるそうですね。そして既に返還され始めているとか。
コンプトンのコレクションでその対象になった一点は、例えば13世紀備前三郎国宗による国宝の太刀です。第二次世界大戦後に不法に日本から持ち出されたと知り、東京国立博物館寄宅にしたいと申し入れたという事です。その他いくつかの重要な刀が寄贈されたそうです。
その為日本政府から、勲四等旭日小受賞贈られました。
しかし、コレクションの殆どは彼の死後競売にかけられました。ヨーロッパの美術商による購入が目立ち、予想額より高額で落札されたそうです。また、彼の遺族が設立した財団からは100本以上がボストン美術館に寄贈されました。
あちらの方々の日本へ返還すべき、との思いに敬意を表すると共に、勿論混乱に乗じてではなく、正当な手続きで海を渡ったものも含め、欧米の目に触れ、日本には素晴らしい文化芸術があると広まり評価される事、また、それがきっかけで自国の文化を新たな目で見直す事(例えばボストン美術館で日本美術部長だった岡倉天心は、刀剣や刀装具を日本美術に含める必要性を認めていなかったといいますが、美術品として扱うあちらでの活動を通して考えを変えて行ったのかもしれません。)は、更に国内でその価値を上げる結果をもたらすに至ったのでは、とも思います。
その役目を果たした数々の刀剣を始めとする文化財達が、いつか戻るべき場所へ帰れると良いですね。
そしてまだまだ世界では日本の歴史が、サムライ•ニンジャ•ゲイシャ等のファンタジー的に扱う部分があり、刀剣は正にその代表でもあると思われます。
ファンタジーはファンタジーとして楽しむ一方で、本当の意味で奥深い日本の歴史と共に文化•芸術も広まれば良いと思います。
…という自分自身も、居合を通して少しでも先人の思いを知る事が出来れば幸いです。